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複数事業者への労災保険給付~労働者災害補償保険法の改正 | 医療機関や一般企業の就業規則、助成金申請、開業支援|えと社会保険労務士事務所

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複数事業者への労災保険給付~労働者災害補償保険法の改正

作成日:2020年12月16日(水)

いよいよ年末らしく寒さ厳しくなってきたこの頃ですが、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

改めて振り返ると、今年はコロナウイルス感染症一色の一年でした。

毎年、この時期にはクリスマスの雰囲気で賑わいを見せる町並みも、心做しか、寂しく感じるのは私だけでしょうか。

 

さて、令和2年9月1日より労働者災害補償保険法が改正されました。

今まで、労災保険といえば『業務上の災害』と『通勤中の災害』に対してなされる補償のみでしたが、今回、これに加えて『複数業務要因災害』が施行されることになりました。

従来の労働者災害と大きく異なる点は、複数の事業に使用される労働者(副業を行っている労働者)が、その各々の事業の業務を要因とする災害に対して補償がなされるというものです。

 

昨今の人口減少に伴う労働者人口の減少による社会問題に対し、政府はその解消案として副業を解禁しました。

副業を解禁したからには、それに対して起こり得るリスクに備えて、労災補償も改正されたわけです。

 

補償内容としては、例えば、現在、過労死ラインとされている時間外労働時間数は、1ヶ月間に100時間以上、又は2ヶ月~6ヶ月間に概ね平均80時間以上とされていますが、今までは、副業を行っている労働者の一方の事業での時間外時間数が50時間、もう一方の事業では60時間だった場合、一方ずつの時間外労働時間数では過労死ラインとされている時間外労働時間数を超えていないため、例え過労死であることが推測されたとしても労災認定がなされませんでした。

ですが、今回の改正により、上記の事例であれば、トータルの時間外労働時間数が過労死ラインを超えるため、総合的に判断して労災認定がなされることになりました。

※ただし、上記はあくまでも一例であり、上記と同様の事案であったとしても、必ずしも労災認定がなされることを保証するものではありません。ご了承ください。

 

また、保険給付についても全ての就業先の賃金額を合算した額を基礎として、保険給付額を決定されることになりました。

改正後、まだ間もないため、今後、上記の例以外にどのような事案に対して補償を行っていくのかは未知数なところはありますが、実質の労災保険の拡充と考えられるのではないかと期待しております。

 

また、同時に来年は、コロナウイルス感染症の呪縛から解放され、輝かしい一年になることを期待しております。

皆さま、どうぞよいお年をお迎えください。来年も何とぞよろしくお願い申し上げます。

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